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シンガポールで働く,とあるメーカーの経営企画マンのブログ

リーダーのカリスマ性に頼らない,組織の動かし方ってなんでしょう?(書評)

 こんにちは,Kawaです. シンガポールはすっかりクリスマスムードで,オーチャード通りでは渋谷の交差点ばりの人であふれています.

 クリスマス休みを利用して,東京時代の会社上司に勧められた,組織・人材マネジメントに関する本を一冊読み終えましたので,読書メモをおひとつ.


リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは

◆カリスマリーダーではなかった中竹さんの実験試行

 筆者は元・早稲田大学のラグビー部監督で,清宮克幸監督というカリスマ監督の後継者となり,早稲田を二度の大学選手権優勝に導いた人物です. 彼は,自分自身の組織運営スタイルを称し,またカリスマリーダー不要の組織運営論を標榜し,これを「フォロワーシップ」の組織論と唱えます.

フォロワー・フォロワーシップとはなにか,

中竹さんが組織運営論で着目するのはリーダー「以外」の集団=平構成員=フォロワーの存在です.

組織というのはリーダーの影響が大きい,だからこそ,これまでの組織論は「リーダー」に関することに偏ってきたといえよう.一方で,構成個数で考えると「リーダー以外」の存在は無視できない.忠実に組織論を解いていくのであれば,「リーダー」のことだけでなく「リーダー以外=フォロワー」のことを考えることが必要といえよう

 どうもこれまでは「リーダー」のことばかりが先行してきたため,多くの問題が発生しているような気がする.「リーダー不在」「リーダー待望」といった風潮を多くのメディアが煽っている.

 極端に言えば,フォロワーシップとはどうやって目の前の若者を教育すべきかを考えるのではなく,どうやったら彼らは自然と勝手に成長しえてくれるのかを,突き詰めて考えぬくことである.

良いリーダー・良いマネジメントって何でしょうか?

 この質問,10人に答えたら10通りの人物像・数十通りの資質・要素があがってくるのではないかと思います.世の中では○○力,□□する力というスキルの束が手を変え品を変えもてはやされているけど,良いマネジメント,って組織の形,置かれた立場,構成されているメンバーによってきっと変わってきますよね. 全ての構成員の希望に合致するリーダー像は,おそらく存在し得ない.

 中竹さんは,「組織のパフォーマンスを上げる」という目標に対して,従来のリーダー論が標榜する「リーダーは○○であるべし」「マネジメントには□□のスキルが重要」といった議論から,これらの『主語そのもの』を転換させています.

 組織の多数派の構成要素であるフォロワーたちが,自ら主体的に考え,行動し,結果を改善させていくために,リーダーはどのようなスタンス・振る舞いをすればいいのか,ということを突き詰めます.これぞパラダイムシフト.

 彼がラグビー部内でフォロワー育成のために行ったのが,部員との面談・将来の目標設定/過去の振り返りのプレゼンテーション・マルチリーダー制・チームトーク,などの活動です.(具体的な内容は下記の東洋経済のサイトでも見れます↓)

「日本一オーラがない監督」が成功したワケ | 35歳新任マネジャーへの伝言 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト』)

 具体・個別の内容は,ラグビー部活動の内容に特化したものも多く,これらが直接企業での活動に当てはめられるわけではないのですが,どうやって自分のチームを運営していくか・パフォーマンスをあげていけるか,ということを考える際,この主体の転換はとても参考になります.フォロワーシップが完全解ではない,というのは中竹さん自身が認めていることですが,1つの解にはなるのではないかと感じます.

キーワードはどこまでも『主体性』

Know-howを教えこむだけでなく,Know-whyを自ら考えさせる,という内容には個人的に共感できるものがありました.規模の大小は問わず,自らチームを率いる立場にある人,中竹さんのフォロワーシップ論,お試ししてみてはいかがでしょうか.

それではまた!

Kawa


『リーダーシップからフォロワーシップへカリスマリーダー不要の組織づくりとは』
中竹竜二・著 - 阪急コミュニケーションズ
おすすめ度 ★×3.5 (Max★5)